在留資格「経営・管理」要件厳格化の問題点とは?

在留資格(ビザ)

はじめに

令和7年10月に在留資格「経営・管理」の要件が厳格化され、新規(認定申請)については令和7年10月16日から、既存の在留外国人に対しては令和10年10月15日までに厳格化された要件を満たすように経過措置が取られています。もっとも、「期限までに満たせる余地があるかどうか?」が審査の要件になっていますので、期限までは大丈夫、というものではありません。

運用開始から半年経過しましたが、ニュースを見ると「要件を満たせず事業継続を断念」「更新不許可」など問題が取り上げられています。国会でも野党の議員から撤回を求める意見も出されました。

SNS等では日本人から「外国人への不満」から概ね「経営・管理」及びその他の在留者への対応厳格は好評のようです。

今回は「経営・管理」の要件厳格化の本当の問題点について検討します。

要件の厳格化については過去の記事「在留資格「経営・管理」の更新を控える方へ」をご覧ください。

「経営・管理」の厳格化は適切か?

不適切な会社・外国人の排除は当然のこと

そもそも厳格化の背景には、一部ブローカーや外国人コミュニティにおいて、「経営・管理」のことを「移民ビザ」と称して、500万円(旧経営・管理の基準)用意すれば日本に移住できる、日本の高度な医療を3割負担で受診できる、子供を産めば手当がもらえる等の不適切な誘因があり、それに伴って、事実上のペーパーカンパニーを設立し、実態は日本国内で経営・管理を行っていないのではないか、という問題が生じたことです。

ほか、日本の不動産取得を目的として会社設立する、開発において不適切な開発をする、適切に不動産を管理しないといった問題も指摘されています。

従前の「経営・管理」の審査の場合、認定申請の場合、資本金は登記事項においてチェックされ事務所要件は写真、契約書等で判断されます。実際にどのような経営をしているか?は更新時に決算書で確認しますが、黒字で納税していればそこまで追及されることはありませんでした。

入管は捜査機関ではないので、数多くの会社の経営実態を実際上確認するのが難しいことや、審査する入管職員が「経営の専門家ではない」ことから、個別具体的な点はどちらかと言えば行政書士や税理士が把握している状態でした。

確かに上記のような実態の会社もあるので、当職は従前から必ず「事業実態に関する資料」は見せてもらっていました。

実態のない事業者の認定・更新等の申請を行うのは、好ましくないと考えていたためです。

当たり前のことを当たり前にやる、不適切な会社、外国人は排除するという意味においては方向性自体は然るべきものと思います。

厳格化の裏で真面目な事業者をどう保護するのか?法的安定性の観点からは疑問

ところで、審査の要件は資本金・常勤職員雇用・言語能力・経営経験(既存の外国人は3年は経営経験あるため問題ない)といったものです。

これらは「適切なビジネスを行っているかどうか?」を測るものとしては必ずしも的確ではありません。

というのも、日本国内を見ても資本金3000万円以上の会社はごく一部です。会社の資本的な信頼度は登記上の資本金額では必ずしも測れません。どちらかと言えば、決算書で見るのは「自己資本」です。自己資本を基準としている許認可として建設業許可等があります。

したがって、実態を把握してふるいにかけるというよりは、「経営・管理で在留している母数を一斉に減らす」という方向性に受け取られます。

このような手法は「真面目にやってきた小規模事業者」の人生を狂わせることに繋がります。また、法改正ではなく省令改正、運用の見直しという手続きにおいて、極めて短期間の間に方向性が決められてしまっていることに疑問があります。良いか悪いかは別にして、これまで「この条件でよいのだ」という前提で事業計画、人生設計をしてきた外国人に対しては人道上の問題があるように思います。

このようなやり方は「法的安定性」に反すると思料します。

法的安定性とは、「法律の制定・改廃・適用が安定的に行われ、ある行為に伴ってどのような法的効果が発生するか予測可能な状態。[補説]法秩序に対する人々の信頼を維持するための原則と考えられ、法の恣意的な運用や主観的な解釈などは避けなければならないとされる。」(コトバンクより引用)

「経営・管理」で在留する方は今後どうすべきか?

令和10年までの2年間で要件を満たさないと不許可になってしまいます。また、資本金額に目が行きがちですが、常勤職員の雇用、納税や適切な社保加入も見られることになるため、過去の実績を見て不適切と判断される恐れはあります。

従って、自身で全て行うのはリスクがありますので、必ず「税理士」や「社労士」といった専門家に税務、社会保険等の業務は行ってもらうことをおすすめします。

今後、要件を満たす方向で進めるか、「経営・管理」以外の在留の方法を模索するか、帰国するかのシビアな検討を重ねる必要があります。

帰国するにしても、事業自体は廃業するのか?譲渡するのか?国外から経営活動を行い日本国内に居る人に任せるのか?といった選択肢が存在します。

変わりゆく情勢ではありますが、当事務所としては次の方針で対応していきたいと考えています。

当事務所の「経営・管理」に対する方針

  • 基本的に「真面目に事業を行っている、行いたい方」については積極的に在留資格を守る、認定申請が通るように支援します。
  • 真面目にやってきていても更新が難しそうな状況の場合、他に日本に在留できる方法や一旦仕切り直しで帰国後に再度来日できる方法を一緒に模索します。
  • 現在の事業の価値を鑑みて、事業譲渡等の方法がないかを考えます。

厳しくなってきた今だからこそ、行政書士の価値が図られる時代になったと感じています。

お困りのこと、ご不安なことはぜひ一度ご相談ください。

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