資格者不在で許可取消の危機?建設業者はおさえておきたい「資格者」のことについて

建設業

はじめに

建設業許可を取得している会社様はご承知のことと思いますが、建設業許可においては2つの「ヒト」にかかる要件があります。「経営業務の管理責任者」と「営業所技術者(特定建設業の場合は特定営業所技術者)」です。

その「ヒト」が辞めてしまった場合に、代わりになる人物がいない場合は建設業許可の要件を満たさなくなるため「許可取消」になってしまいます。(建設業法第29条1項1号)

法文を読んでみましょう

第二十九条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該建設業者の許可を取り消さなければならない。
一 一般建設業の許可を受けた建設業者にあつては第七条第一号又は第二号特定建設業者にあつては同条第一号又は第十五条第二号に掲げる基準を満たさなくなつた場合

第7条1号、2号は「経営業務の管理責任者」と「営業所技術者」を置くことです。なお特定建設業にある第15条第2号は「特定営業所技術者」を置くことです。

許可の取消は許可業者としては大きな影響を及ぼします。受注していた業務が遂行できなくなるため信用問題に発展したり、そもそも会社が存続できるかどうかもかかってきます。

ある日突然いなくなる…なんてこともあり得る?

現在雇われている方については、当然「退職」することはあり得ます。転職のような自発的な退職もあり得ますし、体調不良による退職、死亡による退職も現実的にはあり得ます。

企業の規模にもよりますが、一般論としては万一のときに備えて欠員が出た時の準備をどうするか?を考えておく必要があります。

複数名の職員を雇用している程度の事業者であれば、代わりになる人物を作っておく必要があります。

なお、先ほど「企業の規模による」と敢えて付記したのは、いわゆる「一人親方の法人成り」やそれに類する極めて小規模(親方含め就労するのが1~3名程度)の場合は、事実上経営者(親方)がいなくなる=業務継続不能となるので、その場合は同業者他社との付き合いなどで万一の時にもクライアント様に影響を最低限に出来るような措置をとる方が効果的な場合もあり得るためです。

実務経験の立証が一番厄介

経営業務の管理責任者

経営業務の管理責任者は「建設業者に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者」「建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)として経営業務を管理した経験を有する者」などです。

経営経験を示すのに一番楽な方法は「登記上で取締役」とわかることと、その間の「建設業許可証を当該法人で受けていること」です。

この場合は登記事項と許可証のコピーで足ります。

建設業許可を受けない軽微な工事のみ請け負っていた業者での経験の場合は「建設業を受注していたことがわかる契約書、注文書+請書など」が必要です。軽微な工事の場合、報酬は安ければ1~2万円ということもあるので、そういった場合には書面を交わさないケースもあろうかと思います。その場合の「軽微な建設業を実際に行っていた」ことの立証が難しくなります。

また、経営業務の管理責任者で一番厄介なのは「登記上でわからないケース」です。例えば名刺の肩書は「執行役員」や「部長」、「課長」などでも、登記がないため経営業務を実際執り行っていたか?という点の立証が難しいのです。

営業所技術者

営業所技術者は一般建設業の場合は「資格」「資格+実務経験」「学歴+実務経験」「実務経験」のいずれかでその資格が認められます。特定建設業の場合は基本的には「資格」又は「実務経験(指導監督的実務経験)」で認められます。

資格がある場合は「資格証」の写しで基本的に足りますが、実務経験が絡む場合は実務経験の立証が先ほどの話と一緒で厄介です。

特に営業所技術者の実務経験は経営業務の管理責任者のものと比べて件数を多く出す必要があるため、書類の枚数が多くなるのと、「許可業種の工事」に該当することを立証する必要があります。

したがって、同じ「工事経歴の証明」でも営業所技術者の実務経験証明の方が煩雑です。

「候補者を用意しておく」ことの重要性

現在「経営業務の管理責任者」や「営業所技術者」ではない現場で働く職員がいる場合は、職員の資格や実務経験の積み重ねは意識しておく必要があります。

該当の資格者がいない場合は実務経験が必要になるため、立証できる実務経験を積み上げしておくことが重要です。

許可申請において、立証のできない実務経験は「無いのと同じ」ですから、予め立証することを想定して準備しておくようにしておきたいものです。

事前に行政書士に相談しておくとスムーズです

一般に行政書士に相談する場面は「実務経験の期間を経過した」「急に担当者が退職した」など既に申請寸前ということが多いです。

しかし、いざその場面になると証明できる資料の準備に苦慮してしまったり、場合によっては「立証できない」こともあり得ます。

従って、後継に引き継ぐことを考える相当前(経営業務の管理責任者の経験証明のためには5年は見る必要がある)から予め計画的に備えておかねばなりません。

当事務所では、建設業の後継者(体調不良などの保険的な意味合いも含む)を早めに検討し、「いざ」というときにスムーズに建設業許可を切らさないような体制づくりを支援しています。

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まとめ

・建設業許可は「ヒトの要件」を満たさないと取消のリスクがある

・「退職」は希望退職だけとは限らないので可能な限り早めに準備してリスクヘッジしておくべき

・立証できない「実務経験」はないのと同じとなってしまう

・実務経験の積み上げも立証書類の積み上げも事前に知識を入れて対応しないと難しい

・行政書士に「申請する前から」相談しておくと安心!

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