税理士が行っている「決算」とは異なる「決算変更届」が必要です
業種問わず「事業者」は法人の場合は決算期に、個人の場合は確定申告の時期に決算を行い、税務署に申告(税務申告)をしています。これは多くの事業者が税理士に依頼しているのではないでしょうか。
ただ、建設業許可を取得している事業者は上記の税務申告とは別に決算変更届を都道府県知事又は国土交通大臣に行う必要があります。(北海道では「決算変更届」、他の地域では「決算報告」などと呼ばれています。以降「決算変更」と総称します。)
税理士が作成した決算書をそのまま提出するのではなく、建設業の様式に組み替えて財務諸表を作成する必要があります。具体的に言えば、所定のひな形、勘定科目に沿って原価計算を含めた記帳を行う必要があります。従って、勘定科目の振り替えが必要になります。また、決算変更における財務諸表に記載する金額は千円単位で記入するので、税務申告における決算書とは別物です。
また、併せて「許可業種の工事経歴書」や「直近3年間の工事代金」をまとめる必要があります。
提出は期限があって、事業年度終了から4か月以内です。通常税理士が税務申告を終えて決算書一式を事業者に引き渡すのが事業年度終了から2~3か月後のことが多いので、正味1~2か月で決算変更の書面を作成し、届出を行う必要があります。
決算変更を怠るとどうなる?
決算変更は許可を受けている建設業者の義務です。従って、期日を守って提出していないと建設業法第50条に違反します。罰則は「六月以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金」です。罰金刑も拘禁刑も建設業者及びその役員等がこれに反すると建設業許可の欠格事由にあたるので極めて重い罰則であるといえます。(そのほか、登記事項や定款が変更した場合等の変更届を怠っても同様の罰則があります。)
単なる届出であるにも関わらず、罰則が重たい理由としては、建設業許可業者には重い公的責任があり透明性が求められるためです。
決算変更は毎年所轄庁(北海道の場合は知事許可であれば「各振興局」、大臣許可であれば北海道開発局)がチェックします。札幌市の知事許可の事業者であれば、石狩振興局建設指導課です。
また、縦覧できるようになっており、施工主や元請等が確認しようと思えば閲覧できる状態にされます。
なぜこのような決まりになっているかと言うと、発注者保護(大金払った施工主、元請が経営基盤が安定し、技量の担保される事業者に発注することができる)や健全なインフラ整備(資金や技量がない事業者が手抜き工事をすることで工事物のトラブルが発生すると社会が立ち行かなくなる恐れがある)のために必要であるためです。
実務上の話をすると「期日超過したからといって、即座に罰則が適用される」ことは聞いたことがありませんが、以下の点で困ることがあります。
- 期限超過したことが所轄庁に記録される
- 建設業は5年に一度更新が必要だが、更新時点で未提出の決算変更があった場合、それを提出するまで更新が受理されない
特に更新時の不受理については、時期によっては更新手続きが間に合わず許可がない状態の時期が生ずる恐れがあります。仮に許可が亡くなってしまう期間が少しの間でも発生すると、許可を受けないと行えない工事も行うことが出来なくなり、事業者の信用問題に発展しかねません。
従って、毎年欠かさず決算変更を行う必要があります。
建設業法第50条の趣旨に鑑みれば…
税務申告を行って納税を行っていれば税務上は問題ありませんが、許可業者としては取得している許可に対しての責任も果たす必要があります。
特に建設業は国民生活、経済に多大な影響を与える分野であることを考えれば、法に定められる重い罰則規定がある理由も理解できます。
従って、単に「法で定められているから」とか「許可取消されたら困るから」ではなく、社会的な使命を鑑みて許可業者様におかれましては滞りなく、義務である届出は決算変更を含め履行する必要があります。
届出を怠らずに健全な運営をするために…
とはいえ、事業者自身で漏れなく変更届を行うのは難しい場合もあります。
いわゆる「一人親方」やそれに類する少人数事業者であれば、現場のことと経営のことで精いっぱいで「届出が必要な事項」について確認するのを漏れてしまうことがあります。
また、中規模・大規模な事業者であれば専属の総務経理、法務部門が設けられている場合もありますが、人事異動や退職で後任者が届出を要する事項を認知・理解していないというケースも過去にございました。
決算変更を複数年行っておらず、更新申請をしたところ不受理になって許可が危うくなった事業者も実際に存在します。ほか、前任の行政書士が廃業したため手続きがわからず届出を行っていなかった、突然廃業されてしまいどうしていいかわからない…という事案もあります。
この点については、行政書士がお力になれる分野です。
定期的に発生する更新や決算変更についてはアラートを発することで、期限超過することなく申請、届出を行うことができます。また、許可要件に響く経営業務の管理責任者、専任技術者の退職(見込み含む)についても許可継続を前提とした準備を行うことが可能です。
ほか、顧問契約を締結していただければ、契約内容によって定期的に届出を要する事項が生じていないか確認アラートすることも可能です。
建設事業者にとって、建設業許可は命綱と言えますので、命綱を守るリスクヘッジの一環として検討していただければ幸いです。
当事務所では、顧問契約は勿論、決算変更ほか各届出について受任可能です。また、当事務所の行政書士は令和7年度より「北海道行政書士会」が北海道より受託しております「建設業相談員」の任を拝命しております。
建設業関連のご相談は初回無料で承っていますので、お困りのこと、ご不安なことございましたら是非ご相談ください。


